さて、新年早々に、週刊誌に浮気を報じられてしまった、歌舞伎役者、8代目・中村芝翫さん。なんと今回で2度目の不倫報道となります。 出典トップ画像 nhk, dayli.co.jp
「週刊文春」(1月14日号)によると、32歳の京都在住の一般女性で、昨年11月に京都の高級ホテルで3連泊で、その日は妻との結婚記念日でもあったというから、今回は、妻の三田寛子さんになんて頭を下げるのか。
1度目は2016年、京都の人気舞妓さんとの不倫。その際には、妻の三田寛子さんが、浮気した夫をかばいながら謝罪する姿が、「神対応」と話題になりました。結果、三田さんの好感度上昇し、妻に仕事のオファーが入るほど。
後日、この「神対応」について三田さんは、
本当は夫の襲名前で山のように忙しくて、外で待っている報道陣に、一言だけ挨拶し、引き返す予定だったが、外に出てみると、記者たちが雨に濡れながらずっと待ってる姿を見て、少しだけお話しようと思ったら、つい喋り過ぎてしまったんだそうです。
そして、今回2度目の妻の対応はー、
(子供たち)3人は、三人は歌舞伎役者として、主人の背中を見て精進していますので、父親をリスペクトしている。それはこれからも応援していきたいし、家業ですから、家族一丸となってやっていかなければならない。
(不倫を)許す、許さないとか、そういう問題じゃないんですよね。家族の絆はそんなもんじゃないと思うので。 参考:週刊女性
と語っています。
三田さんは結婚後、流産を乗り越え4年にわたる不妊治療の末、念願の子供を授かることができたそうです。三田さんにとっては、子供たちのことを一番に考え、となると夫のことも守る形になっているのでしょう。
2度目のお相手は、芝翫さんのファンの女性。なんと芝翫さんに240万円もする鏡台をプレゼントしたり、どうやら贔屓筋とも言えるタニマチ的側面もあったのかもしれません。
しかし、どうしたものか、古い芸能の世界では、「浮気も芸の肥やし」と都合よく解釈し、まかり通っている感があります。やっと最近になって、不倫など不貞行為は、違約金が発生したり、それどころか、芸能界から干されるようにもなるほど、まさにゲス不倫は許されないのです。
しかし、どういうわけか、今だ歌舞伎の世界では、謝罪はするものの張本人の痛手は少なく、許されているよう節があります。
それは、歌舞伎の世界の体質にあるのかもしれません。
歌舞伎の歴史は、江戸時代から伝統を継がれ、一門(屋号)ごとに分かれています。古くからある一門や人気の強さから、江戸時代から続く暗黙の格付けがされています。それはほぼ昔から変わらず絶対的地位としきたりがあるようです。
現在でも
「歌舞伎座で主役は格上だけ」
と暗黙のしきたりがあります。
この変わらない格付け組織。
そうなると、ちょっとどころか大胆な浮気であっても、格付けが変わるものではなく、「芸の肥やし」だからと一蹴されてしまう。その象徴的な発言をしたのが、海老蔵さんが隠し子発覚し発した言葉が、
「それが普通だと思っていました。」
という発言したそうですが、子供の頃から歌舞伎の中にいた環境の海老蔵さんには、
浮気は普通のことと解釈し、育っていたという教育には驚きです。
その歌舞伎界、未だ若手と言えつ人の中にも
隠し子スキャンダルはたくさんありましたね。
市川染五郎
1997年 市川染五郎さんに、6歳年上の元女優との間に子供誕生。その女性とは、舞台共演がきっかけで交際がスタートし真剣に付き合っていたとのこと。しかし、お互いの方向性の違いで破局。染五郎さんが18歳の時の子供で認知はしているそうですが、「子供には1度もあったことがない。これからも会うつもりはない」と語っています。
市川海老蔵
2003年に発覚し記者会見した海老蔵さん。歌手の日置明子さんとの間に2002年1月生まれの女の子がいます。認知はしており、月に一度は子供にあっているようです。月々の養育費は100万円という噂。当時は、海老蔵さんは24歳、日置さん28歳と言う若さです。
片岡愛之助
2011年に発覚した愛之助さん。京都のホステスとの間に男の子だそうです。生まれてからも2、3ヶ月同居をしていたけれど認知はされていないなく、2人で考えて、違う人生を歩むことにしたんだそうです。養育費は支払っているとのこと。
歌舞伎界では、格付けだけではなく、格式もあり、外の世界から入るのも厳しい世界。梨園の妻になるには、本人たちの希望だけでは結婚は許されず、後援会のお眼鏡にかなうだろう女性でなければ、破局に向かうか、愛人になるということも。
浮気、隠し子、女性問題のスキャンダルを起こしても、格付けが変わるわけでもないし、芸の肥やしと言った先輩の魔法の言葉を使えば問題なしでこれまで来ています。
しかし、そうなると大人の勝手な火遊びで、辛い思いをする一番の被害者は子供です。 染五郎さんの、「これからも会うつもりはない」と公言された子が物心つき、この父の言葉を聞くのかと思うと、切なくなりますよね。
100以上からなる一門によって分かれている屋号。それが歌舞伎の格付けにもなっています。主に、古い屋号が格上になりますが、その中でも市川團十郎さんの「成田屋」が歌舞伎の宗家とも呼ばれ、最も格が高いと言われています。
格の高い家をあげてみると、
・市川團十郎家 「成田屋(なりたや)」(1600年後半) 市川團十郎、市川海老蔵
・尾上菊五郎家 「音羽屋(おとわや)」(1700年代中半)尾上菊五郎、尾上菊之助
・松本白鸚家 「高麗屋(こうらいや)」(1600年後半)松本白鸚、松本幸四郎
・中村勘三郎家 「中村屋(なかむらや)」(1624年〜)中村勘三郎、中村勘九郎
・中村歌右衛門家 「成駒屋(なりこまや)(1700年代中半)中村歌右衛門、中村芝翫
古い歴史の一門、人気、集客できる役者、重要無形文化祭(人間国宝)であるなどが格上となります。
格上と思われる役者は、たくさんいますが、例えばで挙げるとー、
(7代目)尾上菊五郎さん(音羽屋) 人間国宝 妻・富司純子 長女・寺島しのぶさん、長男・菊之助さん
(2代目)中村吉右衛門さん(播磨屋(はりまや)人間国宝
(2代目)松本白鸚さん(高麗屋) 長男(10代目)松本幸四郎さん(元染五郎)、次女松たか子さんなど
(15代目)片岡仁左衛門さん15代目(松嶋屋)人間国宝
(5代目)坂東玉三郎さん(大和屋) 人間国宝 大和屋は 大和屋は1700年後半から
若手で人気なのは、
(11代目)市川海老蔵さん(成田屋)コロナ感染の影響で「團十郎」の襲名が1年遅れ2021年4月に予定されています。妻は故小林麻央さん、子供は、長女、長男がおり、長男勘玄くんは7代目新之助を襲名予定。
(5代目)尾上菊之助さん(音羽屋) 父は菊五郎さん、妻は、2代目中村吉右衛門さんの四女
(4代目)市川猿之助さん(澤瀉屋おもだかや)1800年代から続く屋号です。
実は、ダントツ格上であり歌舞伎の「宗家」と言われた成田屋ですが、(12代目)市川團十郎さんは、人間国宝ではありません。格式もあり人気もあるものの、白血病を患い闘病生活が長く続き残念ながら66歳と言う若さで亡くなられてしまったのも人間国宝を逃してしまった理由の一つなのかもしれません。これまでの歴史で数奇な運命をたどっている成田屋ですが、若手ナンバーワンの海老蔵さんも、暴行被害スキャンダルなどが邪魔しなかれば、将来、人間国宝があり得るのかも?しれません。
このように400年もの長い歴史の中で、格付けされた歌舞伎界ですが、主役を演じるのは上記の格、人気の役者、人間国宝の役者ということになります。
歌舞伎座公演の舞台のギャラは、1カ月500万〜800万ではないかと推測されています。
もちろん、格上、集客力、人気で、決まります。
若手の中では、、成田屋の海老蔵さんは絶対的。そして松本幸四郎(染五郎)さん、菊之助さんが主役級となります。そうなると人気や若手で知名度がある中村獅童さんや愛之助さんは、どうなのかというと。
格付けの位置では上位にではなく、歌舞伎座で主役は厳しいです。他の明治座などの舞台で主役をとれるようになるには、テレビやドラマ出演などに出演し人気を集める手段も必要となてきます。
(2代目)中村獅童さん(萬屋よろずや)
父親は、歌舞伎を廃業しているため後ろ盾が弱い状態、また2代目の比較的新しい一門。萬屋は、叔父の萬屋錦之助さん(実父の弟)が、1971年に屋号を萬屋に変えてから、萬屋の一門に。
(6代目)片岡愛之助さん (松嶋屋)
歌舞伎とは関係のない一般家庭の山本家で生まれ、5歳の時習い事で松竹芸能の子役ととしてスタート。7歳でNHKドラマにデビューしています。歌舞伎の舞台にも立ったところ十三代目 片岡仁左衛門に見出され、片岡一門へ。
1993年21歳のとき、二代目片岡秀太郎さんの養子となり、6代目愛之助を襲名しました。愛之助さんの実のご両親は20歳代のことにに相次いで亡くなられています。
屋号の「松嶋屋」は古く1600年後半から存在しており、15代目片岡仁左衛門さんは人間国宝です。十三代目片岡仁左衛門さんには、子や孫もおり愛之助さんの仁左衛門襲名は難しい状況です。愛之助さんは、明治座で座頭はできても、歌舞伎座では厳しい立場。それでも歌舞伎以外で演技を広げ、ドラマ「半沢直樹」で大ブレイク。ご存知の通り奥様は、女優・藤原紀香さん。
(9代目)市川中車(澤瀉屋おもだかや)
香川照之さんとして俳優としても有名ですが、2011年歌舞伎の世界へ参入し「市川中車」を襲名しました。中車さんの実父は、2代目市川猿翁さん、実母は浜木綿子さんですが、3歳の時に両親が離婚し母に引き取られたため、歌舞伎の世界に入りませんでした。従兄弟である(父の弟の子)猿之助さんは後から生まれていますが、歌舞伎の世界で育っており、「猿之助」を襲名。
中車さんも、2013年ドラマ「半沢直樹」で大ブレイク。小和田常務役を演じましたが役の中でも東大出身、中車さん自身も東大出身の秀才。「今でしょ」の林修先生とは東大の同級生だそうです。
<中村獅童さんを中心とした親戚だらけの家系図>
格付けで別れる歌舞伎の世界ですが、格上でなくても人気の役者さんがいて楽しませてくれていますよね。ドラマでの人気の役者さんが出演することで、これまで歌舞伎を見たことがなかった人も足を運んでくれ集客になります。
そして、今年は大イベントの海老蔵さんの「團十郎」の襲名があります。長男の勘玄くんも「新之助」襲名が待っています。歌舞伎界は、それぞれの成長を見守っており子供達の将来も楽しみの一つです。
さて、未だなおこのコロナ禍の中にあり、また社会通念においても中村芝翫さんの不倫行動は許せる状況ではありません。
古い格付けがあり余程のことがない限りは、失墜しない歌舞伎界の地位。しかし、歌舞伎座は、昨年2ヶ月ほどしか公演できず、約百数十億円の損失だそうです。
2度目の今度ばかりは、きついお灸を据え反省し、日本の歴史ある文化として素晴らしい芸能を残していってもらいたいですね。